2013年12月25日水曜日

私の山歩き里歩き紀行・山形編(34・未完)


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遂に故郷の名峰・御所山山頂に立つ

 我が憧れの山、御所山 御所山は山形、宮城県境にまたがる標高1,500mの山で、全国的には船形山として知られ、現在では日本200名山や300名山に選ばれ、深田百名山の候補でもあった名峰である。小生にとっては、我が故郷東根の最高峰でもあったことから憧れの山であった。亡き祖父(1883年生)が青年の頃に登った自慢話を良く聞いたし、また佐渡に流された天皇が脱出し最上川を遡上して御所山に隠れた伝説や粟畑の仙人の話などに纏わる神秘的な山でもあった。
同級生と登る 今回はS君、Y君それにS夫人のK子さん。今回は彼の経験が頼りで、リーダーをお願いした。K子さんは、中学時代とS君と結婚当初に登り3回目と聞き、驚くとともに頼もしく思う。

ブナの原生林に出会う
 S君宅に集合し、車で柳沢小屋を経て林道終点まで入る。我々のコースは六つある登山コース中の観音寺コースと呼ばれ、交通が不便なこととアプローチが長いためか、このコースを紹介した資料は少ない。明治期の祖父は東根から歩き途中の山中で野宿したと聞いたように思う。S夫妻も30年前はテントに泊まったという。緩やかな上りの山道を進むとブナ林に出会う。その見事さに驚嘆し、感動する。これまで、丹沢や奥多摩でもブナを見たが物の比ではない。大木、古木が林立し下方の沢に向かって一面に続くブナ林を見て、これが原生林というものかと納得する。ブナの原生林は、粟畑付近を除き、山頂下まで続いた。
姿を現した御所山 粟畑で休憩し、仙台カゴ(篭を伏せた形の山の意)下の水場で水を補給する。楠峰手前の林が切れた巻道で、左手奥に雲を抱いた御所山が初めて見えた。山容が船をひっくり返した形に似ていることから船形山とも呼ばれる。山頂は遥か遠く、しかも緩やかではあるが下り始め、懐が深い山を実感する。K子さんが中学の時に五つの山を越えて登る山と教えられたとの話を聞いて、昔、五所山と書いた資料を見たことを思い出す。休憩を取りながら、倒木を跨いでブナ林の中を進む。

急登、直登また急登
 仙交小屋跡分岐を過ぎると上りが始まる。急な上に直登で、何故ジグザグに道をつくらなかったと先人を嘆く。ようやく上り切り平らな尾根を進むと右手に頂上が見えた。ブナ林を抜け出し、樹木のトンネルのような道からやがて潅木の中のえぐられた道となる。これが急勾配である上に真っ直ぐな溝のため両手を使い這うように上る。下りが苦手な小生は帰りを心配する程の急な上りで、地図に"きつい登り"と特注のある地点。15分上っては数分休みを2,3度繰り返すと潅木が背丈より低くなり、頭上に風を感じ、頂上が近いことを知る。

遂に山頂に立つ
 11時23分に頂上に到達。上り始めて約3時間。明治期に祖父も立ったかと思うと感無量。頂上一帯はお花畑に囲まれた岩石の広場。すでに10人前後の登山者が昼食を楽しんでいた。我々も仲間に入り弁当を広げる。お花畑で咲き誇る白い花はチングルマと教えて貰う。西北に見える筈の月山、鳥海山などの山々は雲の先。それでも、時々雲が切れて近辺の山々が美しく、黒伏山などを確認する。

無事下山し皆で喜ぶ
 下山は上りと同じ観音寺コース。頂上直下の急勾配の道をストックを使い、草木に掴まりスピードを殺しながら慎重に下る。頂上で会った東根山岳会の若者は走るように下って行った。粟畑の先で最上カゴを右手に見た後、最後のブナ林をしっかりとカメラに収め林道終点に下山。K子さん、手を挙げて下山の喜びを表す。彼女も本当は決して楽ではなかったのだろう。小生も登頂を果たした満足感と無事下山した安堵感を同時に味わう。帰りに柳沢小屋の水場で汲んだ水は、S君の推薦通りブナ原生林の下から湧いた名水だった。

 (2013/8/22 13回卆工藤 莞司)

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