2012年8月11日土曜日

私の山歩き里歩き紀行・山形編(19)

雨後の山道に難渋した東吾妻山

 東吾妻山に登った。宿泊した吾妻小舎から頂上まで3時間であった。前日からの雨は止んでいたが、雨後の登山道は最悪の状態。沢となって水が流れ、ダムを造っている。最初は慎重に水溜まりを避けて進んだが、それでも靴に染みこんできた。途中からは半ば諦めて水も厭わず上がり続けた。急坂では滑るのも防がなければならない。一歩一歩上がる外はなく、一層時間を喰ってしまった。更なる敵は樹林帯の通過。コースの途中で、木々の葉から付着する水で上着のシャツがビショビショになってしまい、着替えざるを得なかった。同行のKさんのようにウィンドブレーカー着用がよかったのだが。
 
 地獄のような樹林内の沢登りから救ってくれたのが、湿原である。小屋から約1時間歩いて森林地帯の中の沢を抜けると鳥子平の小さな湿原であった。長いトンネルから脱出してホットした。次は、岩と泥沢と急登が重なった鳥子平からの取り付きをどうにか上がり切った先が景場平湿原。池塘が点在し、コバイケイソウが咲き、前方には東吾妻山(1974m)が広がった。僅かであったが快調な木道歩きを楽しんだ。頂上手前の展望台湿原へは急坂と水との悪戦苦闘の末ようやく辿り着いた。ベンチで休憩するとワタスゲが出迎えてくれた。高地の湿原でも沢が音を立てて池塘へと流れ込んでいた。

 山頂下まで続いた沢とも別れトドマツ林を出ると山頂へ飛び出した。なんと小屋で同宿であった女性二人と同時登頂。我々より1時間後に、反対側の姥ガ原から上って来たという。期待した展望はない。隣の一切経山が見えるだけ。バス時間が迫り、記念写真を撮って下山。こちら側の登山道も同様の状態。少し広く傾斜が緩いだけだ。いつものように遅れ気味になりながらKさんの後を追う。姥ガ原に下り鎌沼を半周して酸ガ平は、11時ジャスト。浄土平まで約2.kmとあって約30分と想定し、バスには間に合う筈。隣の一切経山省略は暗黙の内Kさんも了解済み。休憩も取らずに下り続ける。昨日、足慣らしに上がった道だ。足下に咲く花や鳥の声も後ろにしながら予定通り、浄土平に到着した。

 前日浄土平は雨。夏に入った土曜日だが人出は少ない。山登りを諦め明日に回して、吾妻小富士から酸ガ平、鎌沼、姥ガ原を一周した。小富士は傘を指しながら火口を一回り。目の前を小動物がウロチョロ。貂だろうか。この休火口を眺めたのは二度目と思うが何時かは思い出せない。高校の修学旅行であったろうか。浄土平に戻り、ビジターセンターの庇を借りて昼食。鎌沼から姥ガ原では、花を愛でた。雨で滝となっている沢沿いには遅めのシャクナゲが咲き、沼の畔ではコバイケイソウ、原にはチングルマやイワカガミ、ゴゼンタチバナなどを見付けた。吾妻小舎に宿泊。最近求めた岩崎元郎著「ぼくの新日本百名山」(朝日新聞社刊)で推薦の小屋。シーズン初めの週末だが前出の女性達の外一グループだけ。食事は山小屋らしくはなかったが、スカイラインが側を走っているからでもあろう。
 
 目指した一切経山には登れなかった。雨後はガレ山で水はけの良いこちらの山を選んだ方がベーターではなかったかと少し悔いたが、もう一度チャンスを貰ったと思い直すことにした。Kさん有り難うございました。これに懲りずにまた同行をお願いします。                  (07/7/21 歩く 13回卆 工藤 莞司)

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