2013年9月4日水曜日

私の山歩き里歩き紀行・山形編(31)


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 憧れの西吾妻は変化に富んだ山であった


 西吾妻山(2,035m)に登った。深田百名山にも選ばれた我が故郷山形の名峰である。

何故か駅からハイキング誌に掲載されていて、以前からマークしいた山である。大学は夏休みに入り思い切って朝一番の山形新幹線で出掛けた。登山口は白布高湯温泉にあって、現在ではロープウェイからリフト三台乗り継ぐ。後に調べるとリフト終点の地は1,800mであるから僅か200m程度の登攀である。しかし西吾妻は変化に富んだ懐の深い山であった。トレッキングコースとして紹介されている程であるから、楽なコースと錯覚していた。2,000m級の山としては、時間的には余裕があったが、ゴロ石道や岩場の急坂、岩海と呼ばれる溶岩地帯、湿原の泥道もあって、想定以上の西吾妻山であった。

 つがもりリフト終点・北展望台から人形石を目指して山中に入ると狭い上に石がゴロゴロとした歩き難い道。ガイドにも良い道ではないとある程。登山道は木の根や岩石を越して進むのは常態だが、最近では経験のない悪路。上りが緩やかであったのがせめてもの慰め。しらびそ林を抜けて尾根に出ると人形石のある中大巓(ナカダイテン1,963m)に到着。数組のグループが休憩していた。右方先になだらかな緑の峰が広がり、その最高地が山頂のようだ。近寄りがたい北アルプスの岩峰とは違い、柔和に懐を広げて待ちかまえている感さえする。深田も、「人形石の峰の上に立つと、当の西吾妻山は気の遠くなるほど遙か向こうにある。・・・山稜は、稜線というよりは広大な高原で、ここへきてはじめて吾妻山西部の雄大なスケールを見た。」と書いている(「百名山」新潮文庫97頁)。雲が出て遠望はなく、期待した安達太良山や磐梯山は望めそうもない。

 灌木地帯から湿原に入って、木道を行く。一旦下って花畑となり、様々な花がチラホラと咲くのが見えるが、写真は下りにする。大凹(オオクボ)水場先から岩場の道。急登も重なり、軍手を出し両手も使って懸命に上がる。短い区間ではあったが、白馬岳大池コース天狗原先の岩場を思い出した(91/8)。再度湿原となり池糖が散在してワタスゲが咲いている。白いこの花は家内が好きであった。梵天岩から天狗岩と溶岩地帯となる。後方の遙か下には先程歩いた木道が続いているのが見えた。岩石地帯を下りると3度目湿原で泥濘状態。先へ進む外はなく泥の中に足を踏み入れた。先程来の標識が「48/50」、「49/50」となり山頂が近いことを知る。

 西吾妻山頂上は樹林に囲まれた展望もない狭い地であった。標柱がなければ見逃す程のスポット。記念にカメラに収めた。誰もいない山頂では柱に帽子をのせ、根元にザックを入れた。11時40分、歩き出して2時間弱であった。先に聳える西大巓往復には時間が足りない。バス時間が決まっている。西吾妻小屋を経て天狗岩で、登ったばかりの最高峰を眺めながら昼食。吾妻神社参拝中に携帯が振動。通じるらしいが緊急ではなく応答はしない。岩海は飛び石のように歩けば簡単だろうが、残念ながら年齢と体重でそうはいかない。

 梵天岩、急坂を下って大凹の清水で休憩。高山での夏場の水は有り難い。喉を潤し顔を洗った。お花畑では花々をカメラに収めながら通過する。白い花はシナノキンバイだろうか。下りではかもしか展望台を経由。途中幼児を連れた男女を追い越す。孫らしく、ゴロ石道の下りでは、祖父が負んぶした。孫は多いが小生にはとても無理。自分が下るのに精一杯といった処。予定通り、北展望台リフト乗り場に着いた。下りのリフトからは、草原スキー場でローラースキーを楽しむ子供達が見えた。地元の小中生が冬に備えてトレーニングしているのだろう。バス時間前に下山して、米沢駅か
ら新幹線で帰途に就いた。       

 (06/8/3 歩く 13回卆 工藤 莞司)  
                                    
 

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