2010年7月19日月曜日

吉岡です

タイトル「ば~か!」

木田元「私の読書遍歴」(岩波現代文庫)
読書遍歴というから、今まで読んできた本の紹介かと思ったら、そうではな
い。これは本をからませながらの自伝である。面白い。
本以外の話題も、本にまつわる思い出や友人たちとの交流が綴られていく。本
題からそれた発言に妙に引かれた。
「語学というのは、やればやっただけ確実に読めるようになる。しかも、一定
期間、持続的に規則正しくやらなければならない。坂口安吾が言っていたよう
に、語学の勉強は神経衰弱の治療に絶大な効果がある。」「人間、故郷を捨て
たらおしまいだというのが信治さんの信念だった。だから、夏休みとお正月は
いつも酒田に帰っておられたのだ。」
「人柄と思想とのこうした食いちがいには、当惑させられないではない。だ
が、近ごろでは私は、たしかにハイデガーは人柄は悪い、だが思想はすごい、
それでどこが悪いと坐りなおすことにしている。考えようによっては、いつも
ニコニコしていて、まわりにいる誰からも好かれるような思想家が、二千数百
年にわたる歴史をくつがえすような思想を構想するということの方がありそう
にもないと思えないだろうか。私はいまだにハイデガーの思想に強く心を惹か
れている。」
「哲学者なんてものにはなんの資格もない。おれは哲学者だと思えば、その日
から哲学者になれる。そんなものは養成のしようもないし、その必要もない。
哲学科の大学院で養成するのはそんな哲学者ではなく、テキストをきちんと読
め、一定水準以上の論文を書ける大学の哲学の教師であるにちがいないと思っ
て、徹底してテキストを正確に読む訓練をはじめることにした。」
美術から言わせてもらえば、徹底してほかのアーティストの作品を正確に評価
する力をつけなければらないと思う。自分以外の作品を見て、正確に評価でき
なければ、自分の作品も判断できないわけだし、ろくな作品も作れない。

また本を買ってしまった。読むスピードよりも買うスピードが勝ってしまって
いる。時間がないよなあ。
梯 久美子「散るぞ悲しきー硫黄島総指揮官・栗林忠道」(新潮文庫)
川島蓉子「資生堂ブランド」(文春文庫)
ねじめ正一「荒地の恋」(文春文庫)

7月16日(金)
月刊誌「美術の窓」8月号が届いていた。わたしの個展の案内を載せてもらっ
ている。只で案内を載せてもらったうえに、こうやって送ってもらうのは、申
し訳ないがありがたい。

来週の火曜日が終わると次の日から夏休みだ。あと1日。夏休みと言っても毎
日学校には行く。生徒が来ないだけで嬉しい。
うちの学校の杉田先生が、笠間の藤本さんを陶芸教室の講師として、うちの学
校に呼んだ。30日、学校の先生たちに陶芸を教えてもらう。わたしはその夜に
いっしょに千葉で飲むのが楽しみだ。
夏休みにうちの先生たちを対象にわたしも「研修会」を2回やることになって
いる。「展示のコツ」、「色彩学概論」。まあ、置き土産みたいなものかな。


電車の中には吊革がある。座席の前に等間隔で並んでいる。ドアの内側にも吊
革があり、これは座席の吊革より一段高いところにある。吊革にはそれを支え
る金属のバーがある。これがちょうどよい。
なににちょうどよいのかというと、ぶら下がるのにちょうどよい。
混んでないときに、ぶら下がる。背伸びしてバーをぎゅっとつかむ。手に力を
入れて、足を電車の床から少しだけ浮かす。背骨が延びてぽきぽきと音をたて
る。これが気持ちいい。
猿みたいだ。でもそんなことどうでもよい。
見た目がよくないことは承知だが、そんなことはどうでもよくなっている。な
ぜどうでもよいかというと、それを「見る」人たちがどうでもよい人たちだか
らだ。周りにいる人たちってだいたいとるに足らないどうでもよい人たちだか
らだ。これが老境というものだ。ざまあみろ。

来週は飲み会の目白押しだ。飲めないけど格好つけて飲むのが好きだ。21日は
ニューヨークからセーラムギャラリーの竹本さんがいらっしゃるので銀座で飲
む。作家だけ10人集まって飲む。

ニューヨークリポートは書きあがって印刷も済んだ。今綴じているが、これが
大変でなかなか進まない。書き過ぎてA4に24枚。これに写真とか入れたから、
両面印刷でも17枚になってしまった。700部作るから気が遠くなる。冷房のな
い図工室でやってるから地獄だ。杉田先生をビールで釣って手伝ってもらうつ
もりだ。今月中に終わりたい…
個展の準備はそれからだ。

しかし、毎日暑い!暑くていいのはビールとかき氷がうまくなるくらいかな。
暑さの文句は誰に言えばいいのか。誰にも言えないから、天気予報に対して悪
態をつく。
ば~か!

(吉岡 政美:昭和56年卒、互一会)

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